2007年5月18日金曜日

セントポール寺院



セントポール大聖堂、これがあるからロンドンはシティーと呼ばれているわけです。
ロンドン市の入り口に当たる、道路わきに立っている「しるし」をゆっくり見てください。
ドラゴンが赤十字の旗を持っているでしょう?
これはセント・ジョージの旗でイギリスの守り神を現しています。そしてその左肩には剣が描かれています。
これはローマの市民権を持っていたために磔を免れて剣で殺された「セント・ポール」の意味があります。
つまり、英国のセント・ポール大聖堂のある所というわけです。

ここには紀元604年から教会が建っていました。
ロンドンには山がありません。だから石も採れません。
そこで昔から建築材料といえば木と、泥と、藁だったわけです。
(例外はローマ人がいた時代で彼らは石やレンガを使いました。)
そこで大変火事の多かったロンドンでこの教会も何回か建て直されました。
現在のものは1710年、天才建築家クリストファー・レンによって作られました。ちょうど時はアン女王の時代です。
とりあえず彼女の記念像を教会の前に立てているんですが、彼女には悲劇の女王というあだ名が付いています。
マリーアントワネットみたい?
もっとかわいそうんなんです。
彼女はみんなから跡継ぎを生めと攻め立てられて17人もがんばって生んだのに、一人も生き残らなかったので、最後はアル中で死んでしまいます。その彼女の祟りなのか、ここで結婚式を挙げるとろくな結果にならないとか・・・。
有名なカップルを挙げるとするとダイアナ妃とチャールズ皇太子でしょうね。
中は軍人さんと芸術家が主に記念、埋葬されています。歴代の王立美術学院の院長はここに眠りますし、ネルソン提督やウエリントン将軍のお墓もここです。

足に自信のある人は是非、高さ111メートルを誇るドームに挑戦してみてください。
内側のささやきの回廊で、本当にお向かい(直線で30メートル以上離れている)のささやき声が聞こえるか試してみるのも良いし、外側の金の回廊で100メートル以上の高みからのロンドン見物も一興です。ただし、高所恐怖症の方と閉所恐怖症の方にはお勧めできません。
そんな方たちは中をゆっくり見て廻ると良いでしょう。

私のお気に入りはヘンリームーアの「母と子」わざわざ「聖母子」にしなかったのが彼らしい作品です。母と子の愛情が兄弟の愛に、そして友情へ、そんな愛が育って、世界が平和になれば・・・。この作品は彼が晩年、車椅子に乗ってやってきてこの場所にと決めたそうです。セントポール寺院はヘンリームーア財団からこのオブジェの永久貸し出しを受けています。
このオブジェは見るだけでなく、触れてください。
それで愛を感じてその愛を伝えてください。それがヘンリームーアの願いだそうです。
さらに奥、一番東は第2次世界大戦で亡くなったアメリカ人兵士に奉げられています。

セントポール大聖堂から出たら周りをぐるりと見渡してみてください。
イギリス人は古いものをとても大切にします。新しいビルを建てるために古い歴史のある建物を取り壊すことはあまりありません。ところがこの大聖堂の周りは近代的な建物ばかり。つまり、古い建物が残らなかったという場所です。第2次世界大戦中に大聖堂自身も爆撃の被害を受けました。
傷つきながらも生き残ってきた、この大聖堂はロンドンの象徴でもあるわけです。

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