2010年2月5日金曜日

Mufti Day(マフティー・ディ)

↓の写真を見せてくれた後に、桃太郎君が言いました。
「それからね、マミィ、明日は「MUFTI DAY(マフティー・ディ)」だから、2ポンド頂戴ね」

「MUFTI」というのは中近東の言葉で、イスラム系の人たちがお休みの日に身に着けるガウンと帽子のことです。

MUFTI DAYの制度は、中近東の英国軍で19世紀に始まった習慣なのですが「少額のお金を払って、制服の代わりに好きな服装を身に着けていい」というシステムが生まれました。
現在では、イギリスや英国連邦の国々の一部、ふだん制服があるところで、定期的に行われます。
そして、その「少額のお金」というのはその団体が属していたり、参加しているチャリティーに使われるのです。

イギリスの全ての学校で「マフティーデイ」が行われているかどうかは定かではありませんが、桃太郎君の通っていた小学校(リッチモンドの普通の公立校)でもありましたから、特に私立の学校だけでやっているわけはないと思います。

イギリス人は「チャリティー」が大好きなのですが、その原因はこんなところにもあると思います。
まだ物心つかないときから、半ば義務のようにお金を出す習慣があるのです。
もちろんナニが何でも払わないといけないわけではないでしょうが、先生から「ハーイ皆さん、明日はマフティーディですから、好きなお洋服で学校に来ていいですよ。そしてちゃんと寄付金を持ってくるのを忘れないようにね。この寄付金はxxxというところに役立ちます」といわれた子供たちからすれば、

お金を払って好きな服を着る
=お金を払わないなら制服を着る
=チャリティーに参加していないのが回りに知られる
という図式になります。

チャリティーというのは、本来自らの気持ちで行うものですが、イギリスではマフティーディによって幼い頃からの洗脳がいかされています(笑)
一体イギリスでどれくらいのお金が「チャリティー」で集められているのかは知りませんが、「一般人が払う」というカテゴリーではきっと世界で一番だと思います。

桃太郎君の学校ではマフティーデイは1学期に2回。
サポートしているアフリカの学校にプレゼントを贈る、「愛の靴箱(靴の箱にプレゼントを入れるのでこの名前がついている)」の日が年に1回。
それ以外にもメジャーなチャリティーの日の為の先生やお友達のサポートなどがあります。
これは例えば「チルドレン・イン・ニード」や「コミック・リリーフ」などの大きなチャリティー・イベントの際に行われます。
面白いことやバカなこと、または大変なことをするという提案をして、周りの人からお金を集めるのです。
例を挙げると「英国海峡を泳いでわたる」とか、「一日中喋らない」とか。
桃太郎君の学校のお友達で、自慢の長髪を短くした男の子もいました。
「僕、xxxのチャリティーのためにこの髪を切ります。いくら出してくれますか?」
この子は確か1000ポンド以上集めたと思います。
女装して登校した先生とかもいるし。
この先生も結構集めたと思う。
こういったことは前もって告知して、お金を集めてから実際にやるのです。
今回のハイチの被災に関しても、イギリスのたくさんの人が実際にお金を集めるために何かをしました。
7歳のチャーリー君

こういったイベント以外にも、街中に「チャリティーショップ」があって、いらないものを寄付したり、安い値段でセカンドハンド物を手に入れたりすることも出来ます。
また銀行口座から、チャリティー機関に直接定額を振り込むシステムもあります。
大体2ポンドから10ポンドくらい、毎月払っている人がたくさんいます。
定年を迎えた人たちが、ボランティアでチャリティー関連の仕事をしていたり。
子供からおじいさんおばあさんまで、イギリスではチャリティーと何らかのかかわりがあるわけです。

2 件のコメント:

かんとく さんのコメント...

イギリスのキャリアに対する準備や現実が垣間見え、とっても参考になりました。個人主導のキャリア形成と会社主導のキャリア形成の違いはその通りですね。ただ、私もどっちが良いのかは分かりませんが・・・。イギリスの子供が15,16歳で自分の進路をほぼ決定するというのは、ちょっと早すぎるような気もするのですが、違和感はないですか?

miki bartley さんのコメント...

かんとくさん、こんばんは。

どうせなら自分にしか出来ないことや、心から楽しめる仕事を見つけるのは大切だと思います。
それが早い時期に見つかれば、準備に時間がかけられるのでベストですが、やりたいことが後で変わっても、やる気さえあれば、やり直せばいいだけのこと。
日本人はやり直しが好きではない人が多そう。
イギリスの社会を見ていると、誰にでもできる仕事というのはお給料も低いし、ステイタスや満足度も高くないようです。

なんでもソツなくこなす人よりは、ひとつだけ何か人に負けないものを持っている方がいいんじゃないかと思います。
でもそんな人たちの集まりは、まとめるのが大変そう。
イギリスでマネジメントのポストの報酬が高いのは、個々の才能の生かし方で、結果が全く変わってしまうからだと思います。
(日本のマネジメントが簡単だとも思いませんが)

今週はロンドン、また雪が降るかも、ですよ。
早く暖かくなるといいですね。