2010年5月28日金曜日

アフタヌーンティー


イギリスではいろいろな場所でアフタヌーンティーを楽しむことが出来ます。
元は貴族の奥様が、晩ご飯まで待つのはおなかが空くから「ちょっと重いめのおやつ」ということで始まりました。
ベッドフォード公爵家の、アナ・マリア公爵夫人が、アフタヌーンティーの創始者ということになっています。

ロンドンの有名ホテルの殆どで、アフタヌーンティーを取ることが出来ますが、サーヴィスされる時間は3時から5時ごろまでがもっともポピュラー。
お値段は30ポンドから40ポンドというのが殆どです。

アフタヌーンティーは貴族のお姫様になった気分で、おしゃべりを楽しみながら、お菓子やサンドウィッチを楽しむわけです。
ところが日本からのお客様は、出されたものを残すのはお行儀が悪い、ということで、出てくるものを全部食べようとします。

貴族のお姫様は出てくるものを全部食べるわけではありません(笑)
出されるものの中から、好きなものをとって楽しみます。
通常は一人当たり、スコーンが2個から3個、サンドウィッチが4切れほど、お菓子が2-3種類。
この量x2-3人分が3段のお皿にのって出てきます。
お皿が半分ほどなくなると、係りがおかわりを持ってきてくれます。
これにも日本の人はびっくり。

そこで、アフタヌーンティーを、お昼ご飯や晩御飯の代わりに取ればいいのではないか、といった考えが浮かびます。
そんなことをしたら、アフタヌーンティーじゃなくなっちゃうんですが。

でも、まぁ、その辺は大目に見ることにして。

高級ホテルでは1時半くらいから最終5時半(エントリー)くらいまで、アフタヌーンティーを出すところもでてきました。
1時半に行ったら、日本人ばっかり。
・・・まぁ、いいんですけどね。

だったらいっそのこと、12時から出せば? というところもあります。
きょうはそんなアフタヌーンティーを紹介します。

お昼ご飯の代わりに食べたい。
3段のお皿を体験したい。
そんなあなたにぴったりなのが、ハワードホテルです。

ここのアフタヌーンティーは、TLSeeという名前で、ロンドンの名物をかたどった特別製のお菓子が付いてきます。
貴族のフリなんてやってられないというなら、いっそこと、思いっきり観光客しちゃって。
そんなノリのアフタヌーンティー。
もちろん12時からでも大丈夫。
しかも、1時半までに入れば、早割があります!!
そして、残しちゃったものは、ちゃんと特別製のパッケージに入れてくれて、おもちかえりができちゃいます。

ラベルの選択に結構悩みますね。
英国料理っていうのもなんだか・・・ま、いいか。

バターナッツスクウォッシュのスープ


昨日は木曜日だったので、我が家には有機栽培のお野菜が届きました。
以前に記事にしましたよね
私は毎週同じ箱にせずに、少しずつ違う箱を取り寄せたり、単品で頼んだりします。
中身は週によって変わるので、同じ箱でもいいんでしょうが、何となく、キライなものが入っていたりするのがイヤなので、ちゃんとチェックします。

今週はラージボックス(4人分)というのを頼みました。
箱から出して、キッチンに広げたらこんなカンジ。
これで17.15ポンド。

日本でお馴染みのお野菜も、そうでないものもたくさん。
ジャガイモ、カリフラワー、クジェット、バターナッツスクウォッシュ、トマト、マッシュルーム、ねぎ、たまねぎ、人参、ルバーブ、きゅうり、ラナビーンズ。

昨日はバターナッツスクウォッシュでスープを作りました。
どれがバターナッツスクウォッシュだかわかりますか?
後ろに立っている、ベージュのお野菜です。
ホームメイドのチキンストックに、皮を剥いて荒く切ったスクウォッシュを入れて、中火で煮ます。
やわらかくなったらハンドミキサーでピューレ状に。
塩コショウで味を調えたら出来上がり。
調理時間はそれほどかかりませんし、とっても簡単。
我が家では鳥は丸ごと買って骨はスープストックに使います。
イギリスではそのほうが安いし、スープも出来るので、ちょっと手間ですが、そうしています。
例えば鶏肉(オーガニックのもの)は一羽13ポンド前後。
ここから胸肉が2枚とモモ肉が2枚、そしてスープが出来るのですから安い買い物。
スープはかなり甘口で、まるで蜂蜜が入っているようでした。
丸ごと使ったので、とってもたくさんできました。
半分は冷凍して、食べたい時に解凍するだけ。
写真は撮るのをすっかり忘れていました。
こういった箱に入っているものって、わざわざ買わないものもたくさん入っています。
だから、メニューに変化が付けられるので、気に入っています。

2010年5月21日金曜日

グローブ座


昨日、お友達と、シェークスピアを楽しんできました。

シェークスピアが生まれたのは1564年、亡くなったのは1616年ですから、日本では戦国時代から江戸時代の初め頃。
1616年には徳川家康も亡くなっています。

イギリスではこの時代、娯楽といえば動物を戦わせてお金を賭けたり、観劇といった程度。
今のように、エンタテイメントが溢れている時代からは、想像も出来ない暮らしだったのです。
そこでどの劇場も大変に混みあいました。
庶民から貴族まで、たくさんの人が劇場に詰め掛けましたから、事故も多く、火事などで大惨事になることも稀ではありませんでした。

ロンドンではそういったことも考えて、大きな劇場はロンドンのすぐ外側に建てられました。
その頃の建物は木骨造りと呼ばれて、木と漆喰に茅葺です。
燃えやすい材料で出来ていました。

シェークスピアが株主だったことでも知られるグローブ座も、テムズの南、サザーク地区に建っていましたが、残念ながら火事のために失われてしまいました。
そのグローブ座を「シェークスピアの時代のまま再現しよう」というアイディアが生まれて、なんとその時代のお芝居を楽しむこともできるようになったのです。

この劇場には2通りの席があります。
ひとつは平土間で立ってみる席。
これは庶民が楽しんだ観劇方法です。
舞台の高さは、立っている人のあごの辺り。
席割りはありませんし、ウロウロしたって大丈夫。
でも雨が降っても屋根はありませんし、傘をさすことは出来ません。
もうひとつは舞台をぐるりと見下ろすように作られた桟敷席。

私たちは桟敷席でヘンリー8世を楽しみました。

ヘンリー8世はシェークスピアの書いた最後の作品です。
ローマや宗教の圧力から英国を独立させて、英知を持ってこの国を治めた彼に、未来の偉大な女王エリザベスが生まれて、その洗礼式で幕となります。
さすがエリザベス女王の時代に活躍した劇作家。
でもこの作品を最後に、劇作家をリタイアしたってことは、何か思うところがあったのかも。
シェイクスピアは、潔く華やかなロンドンを去って、故郷ストラットフォード・アポン・エイヴォンに隠居します。


この写真の一番左下に、立ち見の人が見えるでしょう?
こんな風に舞台のすぐ横で観劇を楽しむことができるのです。

正直なところ、英語がわかって、なおかつ主要な登場人物のバックグラウンドがわからないと、この作品を楽しむのは難しいかもしれません。
初めてシェークスピア、という方はもう少し軽めの作品か、よく知られたストーリー物がお勧めです。
でもグローブ座での観劇は、他のどの劇場でも味わえない雰囲気がありますから、ぜひ一度お越しください。

グローブ座


ところで日本の千葉県に、シェークスピア関係の建物を再現したテーマパークがあるのはご存知ですか?
本当にそっくりに作ってあるそうです。
私は日本のものは見たことがないのですが、写真を見てびっくりしました。
ずっと以前、そのテーマパーク関係の方を、ストラットフォードにご案内差し上げたことがあって、その時にその存在を知りました。
名前を忘れてしまっていたのですが、さっき検索したら、ちゃんと出てきました。
グーグルって本当に便利(笑)
ローズマリーの里、円山町

2010年5月12日水曜日

新しい政権

英国の政府が労働党から保守党と自由民主党との連立政権に替わりました。
選挙があったのが5月の7日、この発表は昨夜、11日の夜にありました。

王制をいただいている国なので、前首相のゴードン・ブラウンは、エリザベス女王様に辞任する許可を得ました。
そして、女王様が保守党のデイヴィッド・カメロンを召集して、新政府を打ち立てる要請を行います。

昨日は外でご飯を食べたので、帰ってきてからニュースでブラウン元首相とカメロン新首相のスピーチを見ました。
生中継ではなく、ニュースで二人のスピーチが続けて流れたので、普段気が付かなかった、スタイルの違いが見事に出ていました。
これは以前から気になっていましたが、ブラウン氏はスピーチが下手です。
昨日やっと何が悪いのかに気が付いたのです。

ブラウン氏はスピーチを読むのです。

彼のように視線が下に落ちてばかりいると、何となく、真実味や親近感に欠けます。
昨日の辞任の発表は、予測されていたとはいえ、タイミングが随分急でした。
それなのに、同じように時間の余りなかったであろうカメロン氏のスピーチは、報道陣たちの目を見て、キチンとハナシをしていました。
彼が全てを用意したスピーチではないかもしれませんが、やっぱりこんな風にきっぱり話すことができるというのは、政治家にとってプラスではないかと思います。

ガイドになる時にいろんな訓練をしたのですが、そのなかに、話し方というのがありました。
自分の話している内容に自信を持つと、相手の目を見て話すことが簡単に出来ます。
まっすぐ立つとか、声を聞かせたいほうに角度を向けるとか、不用意に動かないなど、基本的なことは意識しないと癖が出てしまいます。

つまり、いいスピーチをしようと思ったら、
1、内容を把握して、自信を持つ。
2、スピーチをしているという自覚を持つ
この二つの基本だけ。

ブラウン氏は両方ダメでした。
せっかくの最後の表舞台なのに。
最後の舞台といえば、バッキンガム宮殿を出た時の彼の車には、白バイがもう付いていなかったので、曲がり角などで、他の車を数台待ってターンをしていました。
何となく、平家物語を思い出してしまいました。

ところでカメロン氏の奥様は美人ではないけれど、きりっとした表情の持ち主です。
いかにも育ちが良さそうな明るさがあって、私は好感が持てると思います。
昨日のニュースの時に首相官邸のドアをくぐる際、二人で同時に敷居をまたいだのが印象的でした。

実はどうするのかなーと思って、気になっていたのです。
単純なことだけど、面白い。
彼はきっと普段なら奥様を先に通すはず。
デモね、そんなことをしたら、やっぱり気分を害する人たちも多いご時世だから、ちょっとPC(政治的配慮のこと)に気を使いましたってカンジかなぁ?

カメロン氏はイートンを出て、オクスフォードで学んでいます。
女王様とはハナシが合うんじゃないかな?
「私の孫たちも、イートンなのよ」
「存じております」
みたいな???

名門パブリックスクールには、それぞれ特徴があって、よくジョークのネタになります。
ウィンチェスターは頭がよくって、ハローは自己中心的、イートンはマナーに身を捧げるといった調子です。

例えば、部屋に椅子がひとつしか空いていないのに、自分ともうひとり、立っている人がいると、どうしますか? という質問。
ウィンチェスターの生徒は、隣の部屋からもう一脚持って来ました。
ハローの生徒は最後の椅子に自分が座りました。
イートンの生徒は相手に椅子を譲りました。

2010年5月9日日曜日

プロシュートとチーズのパン

我が家ではパンはすべて手作りです。
普通はモルテッドグレインという粉を使うのですが、桃太郎君は白いパンの方が好きなので、たまに桃太郎君用に特別に作ってあげます。
「パンを焼く」という話題になったら、「どのホームベーカリーを使っているの?」と聞かれます。
キッチンが狭いので、これ以上余計なものを増やしたくないせいもあって、我が家にはホームベーカリーも炊飯器も電子レンジもないのです。
全部手作り。
「大変そう」と思われがちですが、実際はそんなことはありません。
本当に何かしてるって、5分くらいで、後は待ち時間ばっかり。
パンやお菓子は計量が大変と思っている人も多いのですが、私はいつもテキトーです。
それでも何とかカタチになるので、ぜひ皆さんも作ってみてはいかがですか?
私は500mlの軽量カップを持っているのですが、大体それ一杯分くらいの小麦粉で作ります。
お塩とドライイーストは大匙1杯くらい、お砂糖は一つまみ。
ぬるいお湯を加えるのですが、量はどれくらいかな?
多分200ml以下だと思う。
でも硬いと混ぜにくいので、多めに入れて粉を足していけばいいと思います。
なんだかぜんぜんレシピになってないなぁ・・・。

今日のパンは強力粉(白)で作って、生地の中にチーズとプロシュートを織り込みました。
どこかに持っていくとかだったら、ハーブを入れてもいいのですが、桃太郎君が嫌いなので自宅用のものには入れません。
生地に何か織り込むときには、こんな風に生地を広く伸ばして、その上に具を満遍なく広げます。そしてそれをくるくる巻き上げて、丸くまとめてから発酵させます。
1時間位したら、もう一度形を整えて、焼型に入れます。
高温のオーヴンで30分強焼いたら出来上がり。
焼きたてそのまま、もしくはオリーブオイルに浸して食べても美味しい。

2010年5月8日土曜日

Hung Parliament って何?


英国では7日、木曜日に総選挙がありました。
夜の10時で締め切られた投票箱は、即座に集計に回されます。

ティムちゃんのクラブでは「総選挙の夕べ」という催し物が計画されていて、報道を見ながらお酒を飲んで会話を楽しもうという趣向のようでした。
かなり惹かれたのですが、結局お友達からディナーに誘われて、そちらを選んでしまいました。
レストランから帰ってきたあとは、テレビの前で各地からの集計結果を見ました。

BBC はとてもこの報道に力を入れているようでした。
「クエスチョンタイム」という番組の司会者、デイヴィッド・ディンブルビーが起用されて、的確なコメントにはとても敬服しました。
彼は30年以上も前、この国で Hung Parliament があったときにも報道していたキャスターです。
もうかなり高齢なのに、徹夜の番組で疲れも見せずにがんばっていました。
私は2時くらいにギブアップしてベッドに入りましたが、ティムちゃんは明け方まで見ていたそうです。
結果は予想通りHung Parliament。

Hung Parliament というのは、無理に訳せば「宙吊り国会」
反対語は Stable Parliament 「安定国会」かな?

英国の国会議員の議席は現在650議席です。
普通は過半数(326議席以上)をひとつの政党が占めるわけです。
ですから新しい法律を作ったりする場合には、その政党の意向が通るわけです。
もちろんディベイト(討論)やコミティー(委員会)も大きな影響がありますが、結局はディヴィジョンベルのあとの8分間、つまり投票での可否が結果になるわけです。
実際には野党全員が同じ意見になることはないので、このまま政府を打ち立ててもいいのですが、13年ぶりにパワーを手にした保守党にしてみれば、不安定な要素から、万が一政府が覆されたりする危険は冒したくないわけです。
自民党の57票を味方にできれば、ほぼ安定した内閣を持つことができます。
昨日、保守党のデイヴィッド・カメロン党首が、自民党に協力を公開で要請しました。
多分週明けには何らかの結果が発表されるはず。
まだまだ目が離せません。

それよりも、自民党が協力した場合、彼らは国会でどちらに座るのかな?
議長に向かって左が政権側、右手が野党です。

2010年5月4日火曜日

フラットのお庭

これは私の住んでいるフラットの近所にあるフラットのお庭です。
(ややこしい?)
残念ながら、私の住んでいるフラットにはお庭がありません。
でもいつもこのお庭を横目で見ながらリッチモンド橋を渡るので、何となく、ここで季節を感じることが多いのです。
この写真は4月のはじめ。
ピンクの花が咲いたので、パチリ。

イギリス人はお庭が大好きです。
フラットのお庭や、キーガーデンと呼ばれる街中のお庭は、ちゃんと庭師によって手入れがされています。
一般家庭でも、庭師を雇って(週に何回といった具合に)いる場合が多いので、とても綺麗な状態が保たれています。
このお庭は、リッチモンド橋のすぐ横、西側に位置しています。
毎年、この花が散る頃に、緑の芝生の上にピンクのベールがひかれた様になって、それは美しいのです。
今日、横を通った時に皆さんにお見せしようと写真を撮りました。
ステキでしょう?
左手にあるレンガ造りの建物が、このお庭のフラット。
ヴィクトリア時代に立てられたものです。


ここに住みたい人のために、広告も見つけてみました(笑)
3-bedroom Flat /Apartment for sale, Richmond Bridge Mansions
£975,000 - London Richmond .
テムズ川が見えるおうちは、やっぱりこれ位するみたい。

2010年5月3日月曜日

ジャパンフォーラムからのメール

私は普段、結構テキトーな性格なのですが、興味がわくとしつこくなることもあります(笑)

今回の湖水地方の環境保護について、一旦記事にした後も、ちょっと調べて追記を書いたりしました。
なぜかというと、気になっていろいろ検索をかけたら、やっぱり誤解している人があまりにも多いことがわかって、自分なりに何か出来るかな、と考えたからです。

実は予定していたゴールデンウィークのお仕事が、見事に5日間キャンセルになったので、時間ができたというのも理由のひとつなんですが。

そこで今朝、今回の制度の関係者の一人、ジャパンフォーラムの方に宛ててメールを書いてみました。
するとすぐにお返事をいただきました。

お返事からわかったことは、私の予想はやっぱり的外れではなかったということです。

ここに彼女からのメールを紹介させていただきます。
誤解されているたくさんの方が、読んでいただければうれしいのですが。
特に名前が報道された、現地のガイド「石渡純子さん」に対してのいい加減な憶測などは、メールを読んでいただくと、(彼女が)全く部外者であることがよくわかっていただけると思います。

バートリーさま、

ご丁寧にメールをありあとうございます。
湖水地方ジャパンフォーラムの***ともうします。
このたびは、Nurture Lakelandのプロジェクトが各種メディアで大騒ぎとなって、ご迷惑をおかけして申し分けありません。
ある程度このプロジェクトの立ち上げに携わったものですから、できるだけ誤解が融けるように説明させてください。

さて、このプロジェクトに関してですが、実は5月5日に、湖水地方でオフィシャルなPress Launchが予定されているのに、先立てて基本的に噂をベースに、地方新聞であるWestmorland Gazetteが詳細を確認せずに先週の金曜日に記事を出して、それがあちこちイギリスと日本の報道に流れたことが大きな誤解を招いている要因となった状態です。私は先週仕事で日本に行って、おととい帰ってきたのですが、昨日は日本の新聞などにも取り上げられていたようで、ちょっと大変な殊になっているのは確かです。

Japan Visitor Payback Projectですが、基本的にもともと湖水地方ジャパンフォーラムと日本の旅行会社が2008年8月にロンドンで懇談会を持った時に、日本の旅行会社が「もっと湖水地方をエコツーリズムの拠点として位置づけたい」という希望がきっかけで、ジャパンフォーラムとNurture Lakelandが日本の旅行会社と相談しながら、今までイギリスの個人客が当たり前に払っているVisitor Paybackという寄付金のスキームに日本から来る団体さんのお客様も参加できるように計画したものです。手順としては下記の通りです。

1)Visitor Paybackは、基本的にお一人さま5ポンドの寄付金として決めました。

2)大手の日本のオペレータ(JALPAK, MIKI, JTB, Trafalgarなど)に同意していたいた結果、Visitor Payback に参加するツアー代金からこの一人5ポンドの寄付金を集金していただき、Nurture Lakelandに送金していただくしくみを作りました。これは多いにオペレータさんのご協力をいただいているしくみであって、特にこのメディアの関係でそれが認められていないのは大変悲しく思うポイントです。

3)Visitor Payback に参加するツアーを企画している旅行会社には、National Trustのロゴなどの資料を提供して、プロジェクトをPRしていただくようにしています。もちろん、すべての湖水地方に来るツアーが参加するわけではないので、「旅行代金に寄付金が含まれる」という報道は一部確事実ですが、お客様がプロジェクトに参加するツアーに申し込む場合に限ります。こうしたツアーはある程度「グリーンツーリズム」の位置づけができるという点からもある程度付加価値を作ろうとしています。
参加する旅行会社のすべてのツアーにプロジェクトの寄付金が入っているというわけではありません。
たとえば、JTBワールドバケーションですが、今年数本の特定シリーズのツアーに寄付金を付けているなど、どの会社も「エコ」を強調したいツアーだけで寄付金を取り入れているのですから、お客様はどの旅行会社に依頼してもあくまでも選択肢がある訳です。
場合によってはad hoc(注文をもとに作られた)ツアーが、全員に対してこのプロジェクト参加のケースも出て来るかもしれないのですが、これは最初から旅行会社とお客さんの同意の上に決める事であって、どの時点ででも強制の面はありません。

4)Visitor Paybackツアーに参加されるお客様には、ピーターラビットのピンバッジと証書が渡されます。このバッジは、プロジェクトに参加するお客様以外に入手することができない、完全な限定品です。

5)プロジェクトを通して作り上げる資金は、これから湖水地方の自然保護活動に当てられる。まず今年からは、その対象はナショナルトラストのいくつかの修復などのプロジェクトです。日本のお客様からの寄付金がどのように使われているかがこれから日本語の報告にまとめられ、年1回日本の旅行会社に提供される予定です。

こういうしくみなので、このプロジェクトは全く「強制」でも「観光税」でも「狙い撃ち」でもなく、日本の旅行会社と湖水地方のサプライヤーができるだけ協力的に作り上げた、湖水地方の自然保護に貢献できるための機会に過ぎないです。今年は確かに、日本のツアーにしか付かない商品ですが、これは今まで15年間に渉ってジャパンフォーラムが日本の旅行会社といろいろな機会を通して協力体制を作り上げたためこそできたプロジェクトであって、狙いとしては、日本の団体さんから好評をいただけるなら、これから他の国からの団体さんにも広げて行ける、ということです。

さて、バートリーさんのご質問ですが、下記の通りご確認いただければと思います。

1、石渡さんのことを教えてください。
  お仕事はなんでしょうか?
石渡さんは、湖水地方のバス会社Mountain Goatの日本語案内役として働いています。
Daily Telegraphはheと改訂あるのですが、実は女性です。
Blue Badge Guideなどではないのですが、報道関係者はそれを知らずに多分Guideと呼んでいるのでしょうね。

2、今回のPayback プロジェクトと、石渡さんとのかかわりはどういったものでしょうか?
公式な関わりがありません。ただし、湖水地方に観光業として通常か変わっている(要するに、湖水地方にすんでいる)唯一の日本人なので、報道関係者は日本の旅行業界に関わる記事などを書く時にしょっちゅう彼女の意見を求めるようです。
たまたま報道人が彼女と連絡をとって、意見を聞いたところ、彼女は湖水地方の美しさも良く知っている人なので、良いと思う、と言っただけだと思います。

3、今回の新聞報道はフェアだと思われますか?
  新聞の名前とご意見をお聞かせください。
上記の答えで書いてあると思いますが、全く間違っている報道になったと思います。

4、実際に受けたインタビューはどこの新聞(もしくは他の媒体)だったのでしょうか?
湖水地方の地方新聞であるWestmorland Gazetteです。
上記に書いた通り、公式なリリースも、報道のためのpress launchもまだ行われていなく、噂を元に書いてしまった記事です。

5、このスキームが、日本人に対する差別だと思っている人にメッセージはありますか?
これは得に大切な事だと思います。
このスキームが、基本的に日本のお客様が環境にとても意識が高く、湖水地方の自然保護活動などについてもっと知りたいという声にお答えしようという考えから始まったもので、こうして日本人がエコツーリズムのリーダーシップを取っていただけるのは湖水地方にとってすばらしいことだと我々は考えています。日本の団体さんがこのプロジェクトをサポートしてくだされば、かならず他の国の団体さんも乗ってくれるでしょう、というのは前提です。決して差別のつもりは全くありません。

ということで、私の説明がとても足りないと思いますが、もう少し事実を分かっていただけたのでしょうか。
ご存知の通り、今週は日本でゴルデンウィークなので、水曜日までメディアを動かすのが少し難しいと思いますが、5/6以降は日本の報道関係者向きに日本のコピーライツ(ピーターラビットの著作権を管理している会社)などと協力して公式なリリースを出す予定をしています。

2010年5月1日土曜日

湖水地方で日本人に税金?

ショッキングなタイトルでしょう?
昨日、イギリスの各紙で取り上げられた話題です。
日本では流れたのでしょうか?

Nurture Lakelandという、環境保護の活動をメインにしているチャリティー団体が、ピーターラビットなどでお馴染みの湖水地方に拠点を置いています。
このチャリティーで、今回、日本人を対象にして、ツアー会社などを通して一人5ポンドの支払いを求めるというニュースです。

新聞の見出しが派手なのは、きっと日本でも同じだろうと思うのですが、見出しだけを読むと、本当に誤解を招いてしまう表現です。
実際に私が聞いただけでも色んな意見が飛び交っています。
「日本人だけをターゲットに税金をかけるなんてひどい、人種差別では?」
「日本人は遠くからやってきて、しかもたくさんのお金を使うのに、更なる負担はフェアではない」
「環境保存は地元の人が払うべきで、お客に払わせるのは筋ではない」
などなど。

これはBBCのラジオでも流れたというので、早速聴いてみました。
BBCのラジオ放送は、放送後1週間以内なら、インターネットで聴き直しが何回でもできるのです。
番組の中で、Nurture Lakeland の人がインタビューに答えていました。
ちゃんと話を聴いてみると、新聞から得た印象は随分変わりました。

まず、これ(一人5ポンド集めるということ)は、日本人のみを対象にしたものではなく、湖水地方を訪れる人たちすべての国籍の人が対象で、すでに実地されているものであること。
寄付制で、強制ではないこと。
日本人が環境問題などに興味のある国民なので、日本人に寄付をお願いするための特別なプロモーションであること。
例えば普通はこういった寄付は匿名で行うものなのですが、日本人がピーターラビットが好きだというので、寄付してくれた印にピーターラビットのピンバッジをプレゼントするなど、日本人向けの工夫が凝らされています。

私はとてもいいアイディアだと思いますが、スピンドクターが必要かもしれませんね(笑)

環境問題は特定の人だけの問題ではありません。
みんなで何とかしないといけないものです。
産業革命のときに、湖水地方に工場が立ち並ぶことを懸念した人たちの間で「National Trust」が作られたあと、現在ではたくさんの一般の人たちの寄付が、そういった活動を支えています。
こういった寄付はいかなる形でも、そのチャンスを推進すべきだと思います。

話はぜんぜん違うかもしれませんが、私は大英博物館をご案内したあと、よくお客様に寄付を促します。
入場料が無料なのは、たくさんの人が寄付をしているからだといった話をするのですが、ほとんどの方は困った顔をされます。
ケチだからではありません。
いくら入れればいいのかが、わからないのです。
普通は「千円札を一人一枚入れてください」ってご案内しています。
するとちゃんとお財布を出して、千円札を寄付の箱に入れてくれます。
最近ではちゃんと博物館も「いくらくらい入れて」って書いているみたいです。

日本人は個人での寄付が苦手です。
いくらって入場料を取ってくれたほうが楽だ、という意見をよく聞きます。
きっと、そういったことがチャリティー団体の耳に入って今回のアイディアが出たんでしょうね。
イギリスにもチャリティーが嫌いな人はいますし、特定のチャリティーに賛同しないという人もいます。
そういった人はきちんと意思表示をします。
私は今回の寄付に関しては、そういった意思表示の場をどこで作るかといったことに興味を惹かれました。

それにしても、この湖水地方の環境保護のための寄付のアイディアが、曲がった形で日本に伝わらないといいのですが。
ニュースを伝える人が、ただ単にこちらの新聞記事を訳してしまうと、その危険が高いです。
ちゃんと調べてから載せて欲しいなぁ。
すでに人種差別だとかって思ってる人がいっぱいいるみたい。
Nurture Lakeland さん、政治家からスピンドクターを一人、貸してもらってください(笑)

追記
この記事を書いてからいろいろ調べてみましたが、やっぱりかなり誤解があるようです。

まず、この寄付なんですが、エコツーリズムのアイディアの一環として、日本側から浮上してきたみたいです。

湖水地方を観光する普通のツーリストは、国籍に拠らず、自分たちが宿泊する施設なども含めて、いろんな場面で、Nurture Lakeland がオーガナイズしている環境保護の寄付をする機会があります。

ところが日本からパッケージツアーで来るお客様は、ホテルのチェックインやチェックアウトなど普通の旅行者がとる行為から一切隔たれていて、こういった制度があることすら気が付かれないまま、ツアーを終えて帰国されます。
そこで、そういったことにツアー会社が手を貸して、もっと認識を高めようというのが目的のようです。

この制度はまず、賛同するツアー会社が500ポンドを払って登録します。
そして、その企画のツアーは「エコツーリズム」に貢献しているというロゴやイメージをパンフレットに載せることが許され、それに賛同する一般のお客様がそのツアーを購入するという流れになります。
バッジと証明書はジャパンフォーラムが費用を出すそうです。
また賛同する会社は、広告をジャパンフォーラムのウェブサイトに載せることが出来るそうです。
詳しい仕組みはここからリンクします。

ですからこれは日本のマーケットを考えた、寄付のアイディアであって、差別とは程遠いものだと考えますが、残念ながらそこまでキチンと説明はされていないので、誤解を招いているようです。

ツアー料金に組み込みになると、寄付の選択がないのではないか、という意見もありますが、全てのツアー会社が参加しているスキームではないようです。(賛同する会社が企画するツアーの全てがこの寄付を行っているのかは定かではありません)

湖水地方にパッケージツアーで来られるお客様の、ツアー選択の幅が広がった、とみるべきだと思うのですが。