2012年4月19日木曜日

ナショナルギャラリー・ターナー展

一人ですることもなかったので、今日は国立美術館に絵を観にいきました。

「何でも高い」と文句をつける人が多いロンドンですが、国立美術館や大英博物館などを含む美術館などの入場料が無料なのには、いつも感心しています。

最近では少なくなりましたが、タマーにお客様が2時間以上芸術品を堪能した後で、「大英博物館は大英帝国が盗んできたものの展示会だ」なんて、失礼なことを言う人がいます。
「じゃあ、それをタダで観にきているあなたは、ライオンが仕留めた獲物の残骸をあさるハイエナみたいな立場ですね」
一度言ってみたい台詞ですが、角が立つので言ったことはありません(笑)

そうかと思えば「これだけのものを無料で維持するのは大変でしょうから、匿名の寄付です」なんて言いながら、出口で募金箱に100万円の札束を入れたお客様もいます。
(その時は、束のままでは厚みで入らなかったので、数回に分けて入れました(笑)

ガイドになってすぐの頃、パッケージツアーで無料の美術館や博物館が入っていた時は「もしお気持ちがあったら、お一人千円くらい寄付してあげてくださいね」ってご案内していました。
日本からのツアーで行程に含まれているからといって、旅行会社が入場無料の美術館や博物館にお金を払っているわけではないですからね。
イギリスでは「払えない人は払わなくていいけど、払えるんだったら払ってくれる?」
みたいなスタンスです。
「海外にまでアソビに出てきているんだったら、ちょっとくらい寄付すれば?」と私は思います。
私個人は、日頃お世話になっている美術館・博物館には、友の会の年会費という形でサポートしています。
また、増改築などの特別アピールに寄付をしたりすることもあります。
大英博物館が中庭にガラス屋根をつける時にも、屋根の一部を寄付しました。

さてそういった「入場無料」が建前の美術館・博物館ですが、有料の展示もあります。
国立美術館では年末から年頭にかけて、「ダヴィンチ展」で盛り上がっていました。
前売りは全て売り切れだったので、毎朝数百人以上、当日券を求める人たちで、夜明けから行列が出来ていました。
その時のお話はブログに書きました。
ダヴィンチ展のおはなし(リンクします)
最後の晩餐について(リンクします)

それも終わって、この春は「ターナー展」をやっています。

ターナーはコンスタブルと並んで、イギリスを代表する風景画家です。
日本にもファンは多いんじゃないかと思います。

さて、この展示はお金を払って行く価値があるかどうかですが・・・。

今回のターナー展はクロード・ロランとターナーの関係に焦点を絞っての展示です。
クロードの作品の横に、それに影響を受けたターナーの作品が飾られていました。
ターナーが好きな人は必見なんですが、ターナーがずらりと並んでいるテイトのクロアギャラリー(無料)を知っているだけに、うーん微妙だなぁ。

だけど、どんな展示会もそうであるように、学ぶことは何なりとあるわけです。

今回の展示で、興味深かった内容のひとつ。

クロードもターナーも自分の人気については自負していました。
そこで取った行動が興味深いのです。

クロードは自分の作品を全てカタログに載せて、偽作防止という手段に出ました。
ターナーは自分の作品を印刷させて、幅広い層に名前を広めようとしました。

ターナーが亡くなった時に、彼の意思でたくさんの彼の作品が国家に遺贈されました。
その時のターナーの条件がすごいです。
「ターナーの指定したいくつかの作品をクロードの対象となる作品の横に展示すること」
現在でもこの条件は守られています。

現在はこの特別展示のために別の作品が飾られている、ルーベンスの隣の小さな部屋(15号室)に、クロードと隣りあわせでターナーの作品があるのです。
それ以外では34号室「イギリスの絵画」にいくつか。
また、テートブリテンのクロアギャラリーにもたくさんの彼の作品があります。

ターナーが生まれたのはロンドン。
コベントガーデンの床屋の息子です。
リッチモンドに住んでいた時もあって、そのお話(リンクします)はブログにしました。
1775年生まれ、アメリカ独立戦争の年。
若い頃はナポレオン戦争があったので、自然とイギリスに目を向けた画家でもあります。
でもあこがれたのはイタリア。
イギリスの風景にイタリアを夢見ました。
生まれた日は4月23日。
イギリスの守護聖人、セントジョージの日。
文学でイギリスを代表するシェークスピアと同じお誕生日です。

次回はターナーの作品を何か紹介することにしましょう。


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