2012年10月29日月曜日

Upstairs, Downstairs

18世紀後半に大改造された、新古典スタイル。
この時代って、イギリス人がヨーロッパで一番お金持ちだった時代。

貴族のお姫様になった気分で、ゆっくりお部屋からお部屋を楽しんでください(笑)

このジュエルキャビネットは、お玄関のホールにありました。
白い部分は貝殻。
花びらやトンボの羽の部分です。
緑色は象牙を染色したものだそうです。
扉は下に開いて、中には11の引き出しがあるそうです。
高価なものや珍しいものをしまっておいて、お客様に見せたりしたんでしょうね。

居間には大きな鏡が向かい合わせになっていました。
鏡に鏡が映るので、まるでずーっと向こうまで、永遠に続いているみたい。
もちろんお部屋を広く明るく見せる効果もあります。
シャンデリアの位置も鏡の位置に合わせてありますからね。
続いて書斎。
たくさんの本が並んでいます。



ドアも本棚?
・・・と思ったら、そのように見せかけているだけ。
新古典時代は、左右対称が好まれたので、片方にだけドアがついていると均衡が崩れます。
謎の隠し扉、とかだったら、もっと面白いのに。
残念ながら、そんなに深い意味は無いそうです。

ミドルクラスやアッパークラスの女性たちにとって、手芸はたしなみのひとつ。
この椅子はそんな女性たちによって使われました。
普通の椅子とは逆向きに、足を開いて、背もたれ側を前に座ります。
何だかレイディらしくないと思うのは私だけ?

この箱は、何を入れたのかなぁ?
これにも同じイニシャル。
E of T って書いてあります。
タットン(T)のエガートン(E)って事ですね。

下はお手紙セットとか入ってそう。
上は投函できるくらいの穴が開いているんだけど。
何だか投票箱みたい。

写真を送って、これはなんですかって聞いてみようかな?
さっき、タットンパークにメールを送ったので、お返事が着たら、ここに書きますね。

あはは、この記事を書き終わる前にお返事が来ました。
エガートンさん一家が、お手紙を書いたら、木の箱に入れたんですって。
そして召使がそれを郵便屋さんに渡したそうです。

1840年に切手ができるまでは、ポストがありませんでした。
だから、お手紙は郵便の取次ぎをしている所に、持っていかなければいかなかったのです。
でも、タットンパークには1日の間に何回か、郵便を届けたり、受け取りのために、
郵便屋さんが来たので、配達は比較的迅速だったそうです。
緑の(皮製)箱は、私の予想通り、お手紙セットが入っているそうです。

こちらはダイニングルーム。
あぁ、何だか、ジェーン・オースティン原作の映画セットを見ているよう・・・(笑)

もちろん食器類は特別に作らせるんでしょうね。
これ、パッと見たときはセーブルだと思っていたのですが、よく見ると何とミントン。
ミントンって、ヴィクトリア時代のおうちのタイルとか作っているイメージが強いけど、
こんな色のお皿も作っています。
上のダイニングルームの食器類もミントンです。


こちらはマイセン。
白磁にコバルトブルーというのは定番で、こういったお屋敷によく飾られています。

寝室はこんな風。
中央右手の洗面台には、洗面器と、熱いお湯を入れたであろうジャグ。
水道がなかった時代。
でもこんなお屋敷に住んでいた人たちは、不便は感じなかったかもしれません。

何か欲しいものがあれば、各お部屋に取り付けられた紐を引っ張るだけでよかったんです。
そして、その各紐の先には・・・

ベルがついています。
今までのお部屋は、いわゆるUpstairs (ご主人様とお客様の階)

でもこのベルがあるお部屋はDownstairs(使用人の階)

70年代に、イギリスで人気だった、Upstairs Downstairs というテレビ番組があります。
で、この記事のタイトルはその番組をもじってみました。

今ではダウントンアビィがそれにあたるかな?
お屋敷の表と裏ってカンジで、人間関係とかが面白い。

これはキッチン。
 大きなパーティーがあっても、これだけの設備があれば大丈夫。
窓も大きくて、明かりがたっぷりのキッチンです。
今回、お庭とお屋敷を案内してくれた、ハウスガイドさん。
食器棚いっぱいに、銅製の型がたくさーん。
ゼリーとかのデザート用かな?
小さなキッチンもあって、ここはアフタヌーンティーを用意するための場所だそうです。
続いて家政婦さんのお部屋で見つけた、天井からのランプ。
手元を明るくしたりする用に、天井からの長さが調節できます。
仕掛けは単純なんだけど、昔の人っていろんな工夫をしたんだなぁ。


おまけ。
マグロみたいなお魚の剥製もありました。
何代目だったかのエガートンさんが釣ったんですって。

ものすごい大きさ。
写真じゃわからないかもしれないけど、2mくらいありました。

この写真、載せるのを忘れていました。
100年前くらいのものだそうです。
このマグロの横にかけられていました。


前回紹介したお庭と併せて、のんびりと訪れてください。
もしくは、このタットンパークに泊まっちゃうこともできます。

ホテルじゃなくって、お庭の一角に、ホリデーコテージがあるのです。
ひとつは2寝室、もうひとつは3寝室の物件。
家族とかお友達同士で、こんなところに泊まってみるのもステキです。
ページをリンクしておきますね。

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2012年10月27日土曜日

Tatton Park

今日は、秋晴れのイギリスから、ステキなお庭を紹介します。

マンチェスターから30分くらいのところにある、Tatton Park(タットンパーク・リンクします)です。

ここは、エガートンという名前の貴族が、約400年持っていた地所。
だから、観賞用のお庭の部分もあれば、実用的な部分もあります。
例えば菜園。

これ、何だかわかる?
クリスマス料理には欠かせない、芽キャベツです。
最近、スーパーマーケットでも、茎についたままの芽キャベツが見られるようになりました。
70cmくらいある茎のてっぺんには、こんな風に、広がった状態のキャベツが乗っています。

こっちはちりめんキャベツ。
英語では「サヴォイ・キャベツ」と言います。
もちろんキャベツ以外にも作っています(笑)
ただ、写真を整理したら、それ以外のものが、よくわからなかったので・・・。

トピアリー(刈り込んだ樹木)もあります。
手前はバラなどが植えられた、ウォールガーデン。

朝早かったので、気温がまだ低い。
前日の雨の残りなのか、茅葺屋根から蒸気が上がっているのが見えました。
1時間後くらいに戻ってきたら、すっかり普通になっていました。
このハット(小屋)は、旅行が大好きで、アフリカにも領地を持っていたエガートンさんが、
その地を懐かしんで作らせたそうです。

外国原産の木も多く植えられていました。
これなんて、1m以上あるんです。
この写真じゃわからないかな?
トトロが傘にできるくらいの大きさ。

大きさは全く違うけれど、形が似ているので「ジャイアント・ルバーブ」という名前。


タットンパークのお庭は約50エーカー。
50エーカーが、どれくらいの広さかって言うと、日比谷公園が40エーカー。

昔、1エーカーは、牛1頭が1日(朝から夕方まで)で耕せる広さだったそうです。

タットンパークのお庭の中でも1番の自慢は日本庭園です。

きれいでしょう?
ちょうど、朝日が差して、紅葉もステキ。
この日本庭園は、ロンドンでの初めてのオリンピック(1908年)の2年後に、
会場のホワイトシティーで催された、アングロジャパン展示会がきっかけだったんですって。

そこを訪れた当主が、日本の庭に魅力を感じて、日本人の庭師たちを雇って作りました。

お茶屋がテーマになっていて、ヨーロッパで一番と評価されているそうです。
写真は撮らなかったのですが、鶴(置物)とか、お稲荷さんまでいました。

広々とした部分には石楠花やつつじもたくさん植わっていたので、季節には見事でしょうね。
邸宅の南側を見ています。
そして、そこからの眺めは、ヨーロッパの幾何学ガーデンの向こうに、イギリスらしい景色。
ガーデン以外にも、約1000エーカーの土地には、放牧地や果樹園などもあります。

次に紹介する邸宅内(リンクします)の観光もあわせて、ゆっくり1日どうぞ。
チェスターかマンチェスターに宿をとって、のんびり訪れるのがお勧め。

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2012年10月25日木曜日

マイケル・ケインズ@マンチェスター

今日紹介するのは、イギリスの有名シェフ、マイケルケインズのお店です。

サタデーキッチンによく出演するので、お料理が好きな人は知っているかも。
英語だけど彼の情報のページをリンクしておきます。

彼のグループは、ここマンチェスター(リンクします)だけではありません。
一番有名なのは、デボンのブティックホテル。
Gidleigh Park(リンクします)という名前で、一度は行ってみたいなぁ。

さて、マイケルケインズ自身が、ここで毎日腕をふるっているわけではありません。
彼の信頼するシェフたちが「マイケルケインズならでは」の、お料理を作っているわけ。

そういった、当店の自慢料理というのを、英語では「signature dish」といいます。

「何がお勧めですか?」って聞いて、「全部」なんて言われちゃった話を聞きます。
何が食べたいかわからないのに、お勧めするのは難しいのです。

「折角なので、ここの自慢料理が食べたいなぁ」という人は、
「ここのシグネチャーディッシュはなんですか?」って聞いてみればいいのです。

ゆっくり食前酒を飲みながら、メニューを吟味したり、
お友達同士で何を注文しようか相談するのもレストランの楽しみの一つ。

私はよくその時間だけで30分以上使ったりします。

パンが出てきて、それが温かくて美味しかったら、もう期待感ばっちり(笑)

マイケルケインズのパンはとっても美味しかったです。


高級レストランではアミューズ(つきだし)も楽しみの一つ。

これは鳥のテリーヌなんだけど、へーゼルナッツがいいアクセントになっていました。
 で、前菜には、オックステールのラビオリ。
Oxtail raviolo   
shallot and horseradish confit, button onions,wild mushrooms, lardons, red wine sauce

濃厚なオックステールの煮込みが、くるりと包まれています。
 メニューを見たときはもっと重そうな感じだったのに、食べてみると意外に軽くいけました。


お隣、M さんのメニューが美味しそうだったので、写真に撮ってみました。
ヴェニスン(鹿肉)のサラダです。
Salad of sloe crusted Yorkshire venison 
red wine poached pears, walnuts, figs,young salad leaves

 鹿肉は脂肪分が少ないので、健康にも良さそう。
イチジクはちょうどシーズンだしね。

これは私が注文したメインコース。
湖水地方のラムです。
Loin of Lake District lamb   
braised shoulder, boulangère potato,fennel purée, baby fennel, tapenade jus

 湖水地方のラムといえばハードウィック種が有名。
だけど、メニューには種類までは書いてありませんでした。

ハードウィックはちょっと癖があるんだけど、これはそうでもなかった。
お料理の腕なのか、種類の所為かは分からずじまい(笑)

さて、デザートの楽しみは食後酒との組み合わせ。
私はイギリスのサマーセットのお酒と、りんごタルト。
Apple tart fine  
cider purée, green apple sorbet
Apple Aperitif, Somerset Cider Company   
 ちゃんとりんご酒の写真は撮りました。
しかも、ボトルまで持ってきてもらって(笑)

それなのにね・・・・・肝心のりんごのタルトの写真がないって、どう?

すっごく美味しかったのに!!!!!
残念。

お隣、M さんのデザートはちゃんと撮りました(爆)
気がついたら、いつもチョコレート系のデザートを頼んでいたK さんのです。
Chocolate tart 
Joël Robuchon coffee ice cream, coffee crème anglaise
Banylus 2009, Les Clos Du Pauilles, Rousillion, France 
ワインは南フランスのもの。


最後はシェフが出てきてご挨拶。
 ご馳走様でした!!



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2012年10月23日火曜日

ミュージックツアー

 この建物は、元マンチェスター中央駅です。

現在ロンドンからの旅行者は、マンチェスター・ピカデリー駅に到着します。
が、昔はここがマンチェスターの乗換駅として大変賑わっていたのです。
でも「3つ(もうひとつはヴィクトリア)も駅はいらない」と閉鎖されてしまいました。

買い手もつかなかった時代もありましたが、結局は催し物会場へ変身。
コンサート会場として使われることもあります。

観光局のお勧め(リンクします)で、マンチェスターでウォークをアレンジしてもらいました。
ひとつはマンチェスターの音楽シーンを巡るウォーク。

ガイドは、自身もミュージシャンだったクレイグ。
なんと、オアシスのノエルは、彼のバンドに弟子入りしたのが音楽の世界への第一歩。
ノエルがもともとガス会社にいたこととか、公団に住んでいたこととか、楽しい裏話がたくさん。
これ、立派な建物だけど、ノエルが住んでいたんですって。
今でも公団だそうです。
こんな公団なら、住んでもいいなぁ。
ちょっとハロッズみたい・・・(笑)

 私は音楽関係には疎いので、正直、話の半分くらいは分かりませんでした。
もちろん彼がメンバーだったというバンドも知りません(キッパリ)
因みに名前は Inspiral Carpets、80年代のバンドですって。
知ってる?

でも熱心なガイディングを聞くうちに、何となく当時の様子が想像できたりして。
ところどころ、当時の写真なんかも見せてくれたり。
この写真(↓)は有名なクラブハシエンダの中。
 現在はアパートになってしまったので、当時の面影はありません。
でもここで、たくさんの有名バンドが演奏したそうです。

ただ、最初は人気がなかなかなでなくて、チケットも安かったそうです。
アパートの裏に回ると、ハシエンダに関する年表みたいなアートが。
 1982年5月21日にオープンしましたって。
 他にも有名アーティストの名前がずらり。
クレイグも、ここのDJ経験があるそうです。

ハシエンダというのは、普通は「農園」のことなんです。

1950年代くらいに、機能性を重視しすぎたものづくりや街づくりがヨーロッパで流行しました。
今では人気がなくなった、コンクリートの面白みのない建物とか、思い浮かべてください。
大衆主義、消費主義、スペクタクル・・・。
そういった動きに対抗する動きが、レタリストとかシチュエーショニストってよばれる人たち。

その考えの源になった著述のひとつが Ivan Chtcheglov の「新都市計画の処方」
英語のタイトル(原語はフランス語)は「Formulary for a New Urbanism」です。

その中で彼が、味気のない都市の対極に置いたのがハシエンダ。

the hacienda where the roots think of the child and where the wine is finished off with fables from an old almanac. That’s all over. You’ll never see the hacienda. It doesn’t exist.
で、この文の結びが
The hacienda must be built.
(ハシエンダは作られなくてはいけない)

ということで「大衆向けのレコードに対する」という意味で、ハシエンダが作られたそうです。

ちゃんと壁にも刻まれています。(写真をクリックすると大きくなります)
建築関係のツアーなどで、サイコジオグラフィーとかアーバニズムとかの話が出るのですが、
そういった時代の話です。

難しい話はその辺にして、 しばらく歩くとマンチェスターの歓楽街。
 古レコード屋さんなんかが並んでいる地域もありました。
マンチェスターのバンドのプレートが歩道にはめ込まれていたり。

このプレートはクレイグのバンドのものですって。
本物のミュージシャンに案内してもらえるなんて、とってもステキ。
音楽が好きなら是非どうぞ。
全く知らない私でもこれだけ楽しめたので、知ってるなら、もっともっと面白いはず。




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