2015年4月10日金曜日

イギリスで一番ステキな教会

 この小さな教会はロンドンから車で1時間半くらいのところにあります。
Tudeley という村の、All Saints教会 。

こんな風に写真で見ると、なんてことはないただの教会でしょう?

でもね、この教会の12枚の窓には、シャガールが描いたステンドグラスが入っているのです。
シャガールがすべての窓を手掛けたという教会は世界でここだけ。

彼が請けたオリジナルの注文は祭壇の上の窓。
 祭壇は東向きなので、朝日が入ってきます。

21歳で海の事故で亡くなった女の子、サラさんのためのメモリアル。
彼女はすぐ近くに住んでいたお嬢様でした。

アートが好きで、亡くなる2年ほど前にルーブルの特別展示でシャガールのステンドグラスに魅せられた彼女。
一緒にパリに行ったお母さんのローズマリーさんは、その時のことが心に深く残っていました。
そこで、シャガールにメモリアルのステンドグラス制作を依頼したのです。



右下に泣いている女性が見えますよね。
教会ではマリア様(マグダラでも聖母でも)としてよく見るモチーフです。

でも、愛する人を失った悲しみは、それが聖母マリアでも、マグダラのマリアでも、そして普通の親子の間でももちろん、不変のものだという風に私には見えます。



サラさんが亡くなる2年前にお母さんと見たルーブルでの特別展示は、シャガールがエルサレムのユダヤ教の礼拝所であるシナゴーグのために制作したものでした。

でもシャガールは出来上がったステンドグラスに人工の光が当てられることと、限られた人だけしか見ることができないという事実に不満を持ったわけです。
そこで、窓にはめ込まれる前のステンドグラスを美術館で公開することになったという背景がありました。



神様の愛は一つなのに、宗教を分けたのは人間のしたこと。
こう考えていたシャガールですから「ユダヤ人のお父さんと英国国教会のお母さんから生まれたサラさんのためのステンドグラス」それは彼にとっても素晴らしい機会だったのです。

サラさんが亡くなったのは1963年のこと。

シャガールが完成したステンドグラスの施工のためにこの教会を訪れたのは1967年。

自然の光が差し込む、残り11枚の透明な窓を見たシャガールは
「残りも全部、僕が手掛ける」そう決めたのです。

それ以降15年の歳月をかけて、1985年に全ての窓にステンドグラスが入りました。
この年にシャガールは亡くなっています。

小さな教会だし、手が触れられるくらい傍で窓を見ることができます。
シャガールのサインも、細かな線もすべて。
そして、自然の光。
 今日は「ツアーではいかないところでおススメを」というお客様をご案内しました。

とっても喜んだいただけたので、紹介できてうれしかった。


洗礼盤のそばに、絵葉書やガイドブックが売られています。
自分へのご褒美に、シャガールの絵がたくさん入った聖書を買いました。

私は夜眠る前に聖書を少しだけ読んだりするので、枕元に置いて楽しみたいと思っています。

機会があったら皆さんも行ってみてください。




***お知らせ*** 
英国公認日本語観光ガイド協会ではチャリティーツアーを行っています。 
詳しくはウェブサイト(リンクします)をご覧ください。     
 *******



  ロンドン情報ランキングに参加しています。
よかったら、クリックして応援してください。
にほんブログ村 海外生活ブログ ロンドン情報へ にほんブログ村
コメントは承認制なので反映に時間がかかります。

0 件のコメント: