2016年2月19日金曜日

騎馬近衛隊の宿舎潜入レポート!お馬さん編

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今日は先日参加した面白いレクチャーでいろいろお勉強したことを皆さんに紹介したいと思います。
ハイドパークの南側にある、騎馬近衛隊の宿舎の潜入レポート!
場所が場所だけに、なかなか一般人は入れないんですよ。

ところで「騎馬近衛隊(きばこのえたい)」ってひらがなで入力したら「木箱の得体」って出てきて、しばらく目が点になりました。

漢字への変換って、時々思ってもみなかった漢字が充てられて、すごく面白い。

普通は近衛兵って書くんだけど、今日はお馬さんにも焦点を当てたいので、隊にしました。
英語だとシンプルに「Horse Guards(騎馬兵)」です。
ただこれは通称で、正式には「Household Cavalry」といいます。

騎馬近衛隊は英国陸軍の一部で、女王陛下のボディーガード。
王室メンバーの近くに身を置くわけで、そのために一昔前までは上流階級出身者もしくは紳士階級で占められていました。

今ではそういった規定は無くなってしまいましたが、いまだにイメージはエリート。
実際ハリー王子とウイリアム王子も所属していました。

現在の英国陸軍の中で一番古い歴史(1661年から)を持ちます。
二つの部隊、The Life Guards と the Blues and Royalsに分かれています。

面白いことに、陸軍の他の部隊にはある「Sergeant(伍長とか軍曹)」というランクが騎馬近衛隊にはありません。
理由は、Sergeant という言葉が「Servant (召使い)」から派生した言葉だから、ふさわしくないと考えられたためだそうです。
ただ、この理由が本当かどうかはわかりません。

これが、宿舎です。
奥に見える、背の高い方が人間用で、手前の低い建物がお馬さん用。

地下鉄ナイツブリッジ駅からハイドパークに入ったところにあります。

ロンドンの街なか(公園ではなくて)で乗馬している人を見かけたら、早朝の場合はおそらく騎馬隊の練習です。
6時ごろから世話を始めて、そのあと馬の散歩に出かけるってお話でした。

ワンちゃんを飼っている人も毎日のお散歩に出るわけだけど、お馬さんもおんなじなのね~。
雨の日も雪の日も(ってロンドンではほとんど降らないけど)大変!
寒そ~う!!
この写真はウェブから借りました。
華やかな赤い制服はLife Guards 部隊。
街の中ではもっと普通っぽい服(でも制服)で着てお散歩しています。

派手な制服を着ている時の練習は、ハイドパークの中で行います。
紺の制服はBlue & Royals 部隊
この日、 ちょうど宿舎に入る前に練習しているのが見えました。
剣を鞘に納める練習中。
一人だけ不器用な人がいて、1分近くもたついていました。
練習だからいいようなものの、本番だったらすごく怒られるんじゃないかな~。


宿舎の中でびっくりしたこと、その1。

中に本格的な鍛冶屋さんがある!
ここで必要な蹄鉄をすべて作って装着までするそうです。

この人は見習いの人で、先輩の前で実地トレーニング中。
蹄鉄は専用の釘で固定されます。
見てると痛そうだけど、蹄は爪のようなもので、馬は全く痛みを感じないんですって。

いろんなサイズの蹄鉄が作られて、サイズごとに保管されています。
 大きなものと小さなものでは倍くらいの違いがあって、びっくりその2!

ここに住んでいる馬は右前脚にBRもしくはLGと書かれています。
これは所属部隊のBlue&Royals かLife Guards を表しています。
左前脚の数字は登録番号。
なので、この馬はLife Guards の46号というID がわかるわけ。

 お馬さんたちはいつも干し草を食べています。
 でもおやつの時間にはその馬別にアレンジされたバケツが用意されています。
その馬の健康状態で内容を変えるそうです。
この宿舎の中で、日によって差はありますが、250頭から300頭の馬が生活しています。

こんな風にきめ細やかな世話をしているわけで、馬は買う値段よりも維持費がかかります。
でも昔はそうじゃありません。
自動車なんかもなかった時代には馬は結構なお値段で、しかもどこででも取引されていたわけです。
馬が軍から支給されると、それを売ってお金にしようという人も居たそう。 
馬が敵に撃たれたので、処分しましたと言って、新しく支給を待つ。

そのうち軍の経済に響くほどになったこの悪習慣に終止符を打つアイディアが生まれました。
処分した馬の証明として、馬の蹄を切り取って見せることが必要になったのです。

時折アンティーク屋で蹄のアクセサリーを見るのはそのため。
切り取った蹄を小物入れにしたりする。
ナポレオンの馬も蹄がちゃんと残っていますよ。
彼の愛馬マレンゴの蹄。
趣味がいいとは思えないけど(笑)
写真は近衛隊博物館のサイトから借りました。

興味深いけれど、残酷なお話を現役の近衛兵から教えてもらいました。
彼が持っているのは儀式に参列する際に近衛兵が持っている斧。
この写真だとちょっとわかりにくいので、斧だけクローズアップ!
尖っている方で負傷した馬を一気に天国に送り、斧を使って蹄を切り取って新しい馬の支給を申請するのです。

でも馬を最前線に使って負傷させるようなことになったのはずっと昔。
今では近衛兵の馬は儀式が主な役目です。
なので、見た目や気性の良い馬が購入されます。
3~4歳で購入された馬は、普通17~8歳くらいまで生きるそう。
長生きしている馬に20歳というのもいるそうです。
基本、隠居はしないそうです。
そして、夏休みはノーフォークの海辺で毎年4週間。
海水浴なんかもするそうです。

その間の儀式はKings Troop という別部隊が行います。

もっと騎馬近衛兵のことが知りたいという人には博物館がお勧め。
騎馬近衛隊の詰所わきにあります。
The Household Cavalry Museum (リンクします)

毎日11時(日曜日は10時)に博物館横で交代式が行われます。
バッキンガム宮殿と違って、雨天でも中止しません。



***お知らせ*** 
英国公認日本語観光ガイド協会ではチャリティーツアーを行っています。 
詳しくはウェブサイト(リンクします)をご覧ください。     
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